我慢は目的ではなく、目的を達成するための "術(すべ)"

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こんにちは、学びスタジオ®︎代表の奧川えつひろです。

 

ご訪問いただき、ありがとうございます。

 


今日は、我慢について書いてみます

 


❤︎我慢できる子が、いい子?

 


“我慢できるいい子”に育てる。
それとも、
“自己主張”を大切に育てる。

どちらが子どものためになると思いますか。

 

 

❤︎2通りの我慢

例えば、
公園で2人の子どもが遊んでいます。
帰る時間になったので親が声をかけます。

A「もう、何度やったら気がすむの。いいかげん、帰るわよ!」
B「4時に帰るって約束したから、あともう1回やったら帰ろうね」

どちらの子どもも、

もっと遊びたい気持ちを我慢することになるわけですが、
親の言葉がけによって

"我慢するときに感じる気持ち”に違いが生じます。

❤︎「怒られるから、我慢しよう」

Aの子どもは、

お行儀よく、

聞き分けのいい子になるかもしれませんが、
実はこのAの対応、

とても危険なのです。

親が厳しくしつけている場合は、
子どもは“親に怒られるから我慢する”だけであって、

“なぜ我慢するのか”をまったく理解していないことが多いからです。

この場合、

子どもにとって我慢するメリットは

“親に叱られないこと

罰を与えられないこと”だけです。


これは、抑圧的な“悪い我慢”のさせ方です。

 

❤︎「時間が来たから、我慢しよう」

 


Bの子どもも、

もっと遊びたいのに我慢をしています。


しかし、

「時間が来たから帰るんだ」

と本人も納得しているので、

子どもが自らを自制できている“よい我慢”のさせ方です。

❤︎我慢の質が違う

我慢する理由が“親の抑圧”なのか“子どもの自制心”なのかで、我慢の質が変わります。

❤︎マシュマロテスト

子どもの自制心についての有名な実験が、

“マシュマロ・テスト”です。

 


“満足を先延ばしできる能力”を調べるため、
マシュマロを子どもたちの前に用意し、
「いま食べるなら1個、
15分我慢したら2個あげる」ことを伝えます。

結果は、

すぐ食べた子、

我慢した子、

ほぼ半々だったそうですが、
その後の彼らの人生の追跡調査で判明したのは、

“我慢した子のほうが、

成績優秀で社会的成功を収めていた”

という事実でした。

理由も説明もなくただ「我慢しなさい」と頭ごなしに言うことは、
子どもにとって苦痛以外の何物でもなく、

圧力に押さえつけられた感情は

かなりの精神的ダメージとなってしまいまいます。

❤︎我慢できる子の未来は“成績優秀で社会的にも成功”

一方、
マシュマロ・テストのように、
「マシュマロを多くもらえるから、我慢する」というのは、

我慢したらよいことがあるとわかっているから、

自制心が働きますし、

最終的には達成感を得られるので、

精神的にもプラスに作用します。

つまり、

我慢には目的が必要ということです。

 


目的を達成するための自発的な我慢が

“真の我慢”なのです。

❤︎子どもは、自分の感情をコントロールできている?

“真の我慢”をするためには、

2つの能力が必要です。

❶“想像力”

まずは“想像力”です。

我慢することで得られる未来を、

想像する必要があります。


「我慢したらおいしいケーキが食べられる」など、

未来を想像する力が行動のモチベーションになります。

これは人生で試練にぶつかり、

困難を乗り越えるときに、

希望を見いだすための大きな力となります。

❷“自分を慰める力”

もう一つは“自分を慰める力”です。


つらいとき、

気持ちをぐっとこらえて、

気を紛らわせて乗りきることです。

我慢には待つ時間があります。
「いまやりたいのに」というとき。
駄々をこねず、

歌を歌ったり、

本を読んだり、

体を動かしたり……
子どもは、

目的達成のために気持ちを切り替えることを学ぶことで、

自分の感情をコントロールする力、

つまり自制心を身につけます。

❤︎日々の積み重ねが、真の我慢に

日々、

小さな我慢を積み重ねていくうちに、

筋トレのように着実に自制心が育まれ、

“真の我慢”ができるようになるのです。

❤︎子どもの成長に合わせた我慢の育み方

❶2歳頃は、意欲や欲求が一気に育つ時期

気持ちを発散することで、

感情のコントロールをしようとする時期で、

いわゆる“イヤイヤ期”。

 


我慢を覚える手前です。

親にとってはとても大変なときですが、
子どもはめきめきと成長しているので、

この時期は我慢ではなく“意欲”を優先してあげてください。

❷3歳~4歳は、自己主張と我慢の間にいる時期

「やりたいことができない」など、

自分へのイライラからぐずることも増えます。

しかし、

抑圧的な言葉がけはよくありません。


子どもの気持ちが切り替えられるような

工夫して言葉をかけます。

すんなりとはいかなくても、

その関わり合いのなかで、

子どもは親の愛をしっかり感じとっています。

❸4歳からは“我慢適齢期”

“真の我慢”ができるように、

「なぜいま我慢をするのか」を説明してあげましょう。

そこで意識したいのは、

子どもの気持ちです。


無理に我慢をさせすぎてしまうと、

親の言うことを守るだけが我慢の目的になってしまい、

子どもの自主性が育ちませんし、

自己肯定感も低くなります。

特に、

我慢できなかったからと罰を与えることは、

“問題は力で解決できる”という

悪い例を示すだけでよい効果はありません。

❤︎“子どもを頭ごなしに叱らない“2つの対処法

❶子どもへの注目をいったんやめる

カッカする気持ちを抑えて、

「話がしたいんだけど、

お話しする前にちょっとお皿を洗ってくるね」などと、

一度“タイム”を入れることで、

冷静に問題と向き合うことができます。

❷親子でイライラしたときの気分転換を決めておく

気持ちが高ぶっているときは、

親子共に感情的になっていることが多いです。

そこで、

イライラしたときの気分転換方法を、

親子で一緒の“タイム”を考えておきます。

 


”ジャンプをする”、”深呼吸する”……、

なんでもかまいません。


何か起きたときに、

この行動を一緒にすることで、

お互いに落ち着きを取り戻せるでしょう。

❤︎自己コントロール力を身につける

この2つの対処法は、

“真の我慢”のための"自分を慰める力”、

つまり“自己コントロール力”につながります。

我慢を育むためには、

親子ともにいったん”タイム”を入れましょう。

 

❤︎まとめ。我慢は目的ではなく、目的を達成するための “術(すべ)”


「我慢できてえらいね子ね!」と、

“我慢”自体をほめるのは危険です。


我慢ができない子どもに足りないのは、

“未来を想像する力”と"自分を慰める力”です。

この2つの力は、

“真の我慢”を育て、

人生に大きな可能性をもたらします。