畑で子どもに自給力を⑧〜耕さないこと

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こんにちは、

四谷大塚NETフォーラム塾上本町教室塾長・学びスタジオ®︎代表の奧川えつひろです。
ご訪問いただき、ありがとうございます。

 

今回は、耕さないことについて書きます。

 

前回、耕すことについて書きました。
土地を耕すことは、安定している土地に、混乱を起こすこと、新しい芽が出やすい土地をつくることでした。
 

❤︎耕さないことは当たり前?

野菜を栽培するとき、
耕すことは当たり前で、
よく土は耕せば耕すほど良い
と思われているかもしれません。

しかし、
耕すことにはメリットもあれば、
デメリットもあります。

❤︎耕すことのデメリット

❶土が締まりやすくなる

耕した直後はフカフカになりますが、
耕すことで、
植物の根による隙間構造などが崩れるので、
時間の経過とともにだんだんと土が締まっていきます。

❷土が乾燥しやすくなる

土の中に空気を混ぜ込み、
土の表面に雑草が生えないようにすることで、
土の乾燥が進みます。

有機物が消費される

土の中の有機物が分解され、
一時的に栄養が土の中に豊富になるのですが、
その分一気に有機物を消費してしまい、
保肥力や保水力の低下につながります。

❹土壌や栄養素の流出する

細かく耕すことで、
土や栄養素が雨で流れやすくなります。

❤︎耕すことが土に負荷をかけている

耕すことで野菜が生育しやすい環境ができ、
野菜の成長が一時的に促されます。

しかし、
それと引き換えに、
土に負荷がかかっています。

その負担が大きくなると土の地力(ちりょく)が衰えていき、
逆に野菜が育ちにくい土壌になっていく可能性もあります。

❤︎地力〜自然の植物は耕さないのに育つ

森の植物たちは、
耕さなくても十分に育っています。
 
耕さないと土が硬くなると思われがちですが、
森の中の土はとてもフカフカして柔らかいです。
 
栄養も豊富です。
それは3つの働きがあるからです。

❶根の働き

植物は根の先から根酸という酸を出すことで、
硬いところでも掘り進んでいくことができます。

枯れた後もその根があった部分はトンネルとなり、
空気や水の通り道となります。

また無数に張り巡らされた根によって、
スポンジのように柔らかく締りにくい構造になっていきます。

❷腐植の働き

微生物などの土壌生物たちが、
枯れ草や落ち葉・生物の死骸・排泄物などの有機物を分解・再合成し、
"腐植"という物質を作ります。

腐植質が増えてくると、
その部分を中心に、
土は団子状の粒となります。
 
この団子状の粒が増えて、
団粒構造をつくります。

この粒は表面がプラスの電荷を帯びており、
粒と粒が反発し合うため、
その間に空気層ができやすくなります。
 
この団粒構造が、
土がフカフカの状態を保ちやすくします。

また
腐植は栄養素のタンクの役割もしているので、
この腐植が土中に増えることで栄養素が蓄えられやすくなります。

❸土壌生物の働き

土の中の生き物たちが土の中を移動することで、
その通り道が無数にできることで、
土がフカフカの状態になります。

このように、
耕すことが、
必ずしも、植物や土壌によいとは限らないようです。

また、
この地力の3つを働きをうまく利用すれば、
耕すことなく、
野菜を育てることができそうですね。

❤︎地力と知力

地力は、
土の中で、
内から作られていきます。
 

地力があってこそ、
植物は、
しっかりと根を張り、
栄養と水分を吸収して、
大きく育つことができるのです。

学びも同じで、
知力は、
知恵の豊かさです。

特別なことをすることではなく、
聞くこと、見ること、読むこと、考えることで、
語彙を増やし、
読解力を高め、
論理力を磨き、
知力という土台を作っていきます。

知力があってこそ、
知識は生きた科学になり、
味わい深い芸術に育っていくと思います。
 
❤︎まとめ。畑で子どもに自給力を⑧〜耕さないこと
 
本来その土地が持っているパワーを
無造作に耕すことで弱めてしまいます。
自然のサイクルを学び、
根の働き・植物の生き枯れの働き・微生物の働き
その土地が持っている地力に寄り添うことで
耕すことなく野菜たちは成長できます。
子どもたちのパワーも
大人が寄り添うことで本当のパワーが発揮できると思います。